ロジパラさんを目指してた!

はてな日記で書いてた頃の冗談日記

クライアントとの距離

 クライアントと同じ部屋で仕事をしていた。情報の受け渡し方法は、”相手の目を見て話すこと”だった。メールや議事録、ドキュメントはその次だった。なにせ相手は目の前にいる。ここでメールで連絡するとか始めると単なる遅延でしかない。そして相手を避けているだけにしか見れない。プロジェクトは無茶のあるスケジュールしか言い渡されなかった。工数がどれだけかかろうが締切日が決まっていてそれに間に合わせなくてはならないのだ。提出用ドキュメントなんて暇な人間が作るものだった。

 細かいことが決まる前に私たちが業務をスタートし、わからないことは作業中に聞きに行った。それがここでの仕事のスタイルだった。杓子定規なやつらはそれをよく思わないかもしれないけど、それがここでのやり方だった。そしてそれで通常よりもよいものが速いスピードでできていたのだからこのプロジェクトはこのやり方が正しかったのだろう。

 突然クライアントの膝元から離れ、時間的距離にして3時間かかる場所に移動になった。クライアントが郊外であり首都圏内に戻ってきたので喜んだ。クライアントも私たち下請けも”相手の目を話すこと”が”電話で話す”になっただけだと思っていた。

 違っていた。メールが主体になることが多くなった。メールでは相手の熱が伝わってこない。無理にその日中に仕上げたのに後で聞いたら一週間以内に仕上げればよかったことや、その逆でのんびり構えていて用事があったのでその日早めに帰ったらクライアントから怒りの電話があったこともあった。

 そしてこちらが全て仕上がった後にクライアントから新しい情報がもたらされ、作り直すことも少なくなかった。言葉の意味を取り間違え、お互いの立場で考えたよいほうの意味にとり、最後に喧嘩する。そんなことが多くなった。

 相手の顔をいつも見ていることと、電話やメールでいつでも連絡が取れることは大きく違うらしい。いまさらクライアントの膝元に戻りたいと思うわけではないが、今までのような親密度はない。それがよいことか悪いことかわからないけど、私たちの意識を変え、クライアントにもそれまでの気安さを改めてもらわなくてはならないようだ。