カウンターでぼーっとしてたらバーテンのお姉さんがサイコロと大小の箱を持ってニコニコしながらやってきた。
「マジックです!サイコロの目を覚えて、そこを上にして私に見せないように小さな箱に入れて!」
どうやらカウンターの反対側で盛り上がってた手品を披露してくれるらしい。「そしたらソレを大きな箱に入れて!」
「おうよ」
オレが入れると彼女は箱をじっと見つめた。
「わかった。3!」
オレは正解の拍手をした。得意になる彼女、でもオレとしちゃなんか物足りなかった。マジックツールでやったマジックをみてもなぁと思ってしまったオレは酔いが足りてないのか、不粋なのだろうか。
そこにあるもので驚かす。相手が用意したものでびっくりさせる。そんなネタを思いついた。
「じゃあ、オレもマジックを見せるよ。そのサイコロの一面を覚えて」
彼女がうなずく。
「次にその反対側を覚えたら小さな箱に入れて」
「入れたよ」
「そしたら…そーだなぁ…小さな箱を大きな箱に入れて」
「入れたー」
オレは持っていたタバコをおいて箱に手を乗せ彼女の目を二十秒間たっぷりと見つめる。そして一言。
「さっきの2つの数字足したら7になる」
「……(数字を思い出している)……(足している)……あぁ!本当だ!!」
彼女は店内に響くような感嘆の声を上げた。彼女が用意した道具を使い、しかもオレはほとんど道具に触る事無く当てたのだ。驚きの声を上げた。
「店長~!ヤンさんがすごいの!!私が見たサイコロの目と反対側の目を足した合計をあてたの!!」
「……?そら当たるだろ」
店長は冷静だった。
(わからない方へ・サイコロを2分見てれば気付きます)
その後もすごく興奮してくれました。いや…そんなに喜んでくれるとは、僕もうれしいです。
ところで帰り道で気が付いたんですが
・二十秒間見つめた後は、とりあえず「好き」と言ってみるべきだった?
・二十秒間見つめる前に箱のうえに彼女の手を乗せさせて、その上に俺の手を乗せてスキンシップを計るべきだった?
と考えたのですが、
1、それをやらないからもてない
2、やってたら変質者
3、後で思いついただけでもヘンタイ
4、発想がおっさん
のいずれのカテゴリーに分類されるんでしょーか?