女性と二人で飲みに行った帰り、二人組みに絡まれた。男らしいところを見せることよりも彼女の身の安全を考えたオレは金を渡すことにした。しかしビビった様子なく金を渡す俺が気に食わなかったらしい。片方が女性の腕を引っ張った。カチンとした俺は反射的に左手で顔を殴ってしまった。
金を渡せばいい話ではなくなってしまった。チンピラ二人は戦闘体制に入ってしまった。おびえている彼女の腕を引っ張ってオレの後ろに移動させる。
オレは飛び蹴りなどで相手を翻弄しながらケンカするのが本来のスタイルである。実践で飛び上がるやつなんてめったにいないから、相手が混乱しているうちに倒せるのだ。だけど今日は背中に守るヒトがいる。今立っている場所から動くわけには行かなかった。
そこで次の手段。オレは右手を胸のところに構えて、左腕を腹の前で左右に動かす。「はじめの一歩」の間柴の武器、フリッカージャブ*1である。
ジャブといっても相手は素人だ(俺も素人だが)。殴られた時、体力的ダメージよりも精神的ダメージのほうが大きい。体力的には大したダメージではないのだが、面白いように当たるから敵は戦闘意識を失っていく。
左手が痛くなってきたころ、右ストレートを一発、もう一人のほうに腹にキックをお見舞いするとうずくまって動かなくなった。騒ぎを聞きつけた警官が近づいてきた。俺は彼女の手をとって走り去った。
駅前まで来て事態を飲み込めていない彼女の頭をなでた。そして「びっくりしたね。大丈夫だった?」とニコッと笑う。
安心した彼女の目に涙がたまる。オレは彼女の涙が止まるまでずっと抱きしめていた。……そして……二人は朝まで分かれることはなかった。
どこで気づきました?ええ、うそですとも。エイプリルフールです。なぜだか「フリッカージャブ」という言葉を書きたくなって書いたけど、話がまとまってないよね^^;
*1:flicker というのは、ちらっ、ちらっと瞬くような光を放つことです。フリッカージャブというのは、普通のジャブよりも低いところから浮かび上がるように、しかも速いジャブを打つことです。そういう打ち方をすることで、相手にとっては非常に見づらいジャブになり、まるで火花のように瞬間的にヒットするような印象になる」こんな感じからパンチ出します