ロジパラさんを目指してた!

はてな日記で書いてた頃の冗談日記

メールの危険性

「顔を見れば、そんなイライラ、すぐに忘れるよ!」(機動戦士ガンダム劇場版「逆襲のシャア」より)

 私の好きな映画の一コマだ。主役が言ったセリフではなく、少年が少女に言った言葉である。表面的には少年を拒否したが、少女はこの一言に救われたのではないだろうか?

 (分かる人へ:ハサウェイがクェスに言ったセリフです。クェスはハサウェイの身代わりになって死んでいきますが、魂は救われたんじゃないかと思ってます。その後のハサウェイの逆上が痛々しい)

 (分からない方へ:この映画を単品で見ないでください。少なくともファーストガンダムのテレビアニメ版を見た後に見ること)

 最近、この言葉が世の中の真実だと感じることが多い。世の中のってのは大げさかもしれないが週に一度はこの1シーンを思い出す場面に遭遇する。

 世の中便利になった。IT技術が発達しメールやチャットが仕事では欠かせないツールの一つになった。同時に相手の顔を見なくても仕事ができるようになった。相手の反応が怖い場合はダイレクトに反応が返ってこないようにメールになってしまう。

 メールは怖い。相手が忙しいのか手が空いてるのか知らないうちに作業を依頼することがあるから、受信側は気分を害することがある。さらに親切心からなのか質問されたくないのか、そのメールの中に作業の詳細や手順まで書いてあると受信側は「初めて聞いた話なのに、あいつ(送信者)の中でオレがやるってことで決まってやがる!」と怒り心頭となる。

 相手も自分も言葉を操るプロではないから説明が足りないことが多々ある。質問しながらその差を埋めていくのが常なのだが、メールは一方通行で質問ができなかったり、また質問しようとすると手間がかかったりするので、どうしても煩雑になる。電話ならその場でお互いの言葉を補填できる。会って話せばさらに身振り手振りと絵に描くことで知識のすりあわせができる。だけどメールはそうはいかない。

 さらにメールは作業の内容が分かっても送信者の意図や考えが伝わらないことが多い。文面は画一したフォントでしかないから送信者の体温までは伝わらないのだ。

 最近、AがBの考えた仕事のやり方を変えようとした。AはチャットでBに注意事項を聞き出し、その上でAのやりたいことを乗せた方法を考え、組織全体に告知メールを出した。するとBから反論が返ってきたのだ。そんな方法は以前に考えたやり方にないからAの方法は賛同できないと。Aは動揺した。ちゃんとすり合わせをして下準備をしたはずだったのにBに反対されてしまったのだ。AとBは今は仕事場が離れているからめったに会わないが、以前は仲のよい同僚だった。それだけに後ろから撃たれたような気がしたのだろう、Aは二日ほど引きずった。

 Aのメールには方法しか書いてなかった。それに至る経緯や事情は何も触れていなかった。おそらくチャットでも簡単な経緯は説明したかもしれないが詳細は記載しなかったのだろう。

 結局、二人で会うことになった。私も現場にいたがそのミーティングはAが思っていることをBが理解し、Bが変更しなくてはいけなくなった経緯をAが知ることでしかなかった。目の前でお互いに感情豊かに話した結果、すりあわせができて、Aの考えた変更案をさらに少し変更して新しい仕事のやり方が完成した。

 メールは直接相手の反応が返ってこない。それはメリットでもデメリットでもある。ただ、話をこじらせる場面をよく見ているのでデメリットのほうが多いように感じる。相手の顔を見ないまま意思を伝える恐ろしさと顔を見ながら話す相互理解の重要性は忘れないようにしたい。