時間は22時過ぎ、春の夜は肌に感じる暖かさは独りで過ごす夜を寂しくする。土曜日、誰とも会うことのない週末になってしまうことを避けるべく、いつもの居酒屋に自転車を走らせた。14号を横切り大きなマンションの脇を曲がる。ここは前の現場のクライアントが住んでいる地元の高級マンションだ。
※前の現場のクライアント様
現場としては数年前ですが、今でもお付き合いさせていただいている女性(ヒト)。私に成長する場所を与えてくれた方々の一人。私が金曜日に徹夜して土曜日の朝にフラフラしながら地元の駅を歩いていたら、土曜出勤するクライアント様に鉢合い「お互い大変ですねー」のような会話をしたことがあります。
仕事のオンオフの切り替えが上手な方で、一緒にエアロビをやったり大きなお船でクルージングしたりとプライベートでも懇意にさせていただいております。
全てのことにおいてポジティブで敬愛してます。
飲み友達に紹介してもらったその居酒屋は通い始めて半年、いつものように引き戸を開ける。「いらっしゃーい」の声が客が来た時のそれとは少し違う。知っている顔が来たときの気持ちが少し加味されている「いらっしゃーい」だ。オレは「ちーす」と挨拶をして勝手にカウンターのど真ん中に座った。
『あ、ヤンさん(リアルでこう呼ばれています)、お疲れー、オレ今帰るところなんだよねー』
オレ「ありゃそら残念、また今度呑もうねー」
『ヤンさんいらっしゃい、ボトルでいいですよね』
オレ「うん、お願い。Mさん、今日は何がおいしい?」
『ちょっと待ってね、お湯割りセット持ってきちゃうから』
これ以上ない常連ヅラをした俺はマッタリしていた。調子に乗っている?馴染みの店でぐらい上機嫌でいさせてほしい。
やがてMさんがグラスにお湯を入れて持ってきた。
『ヤンさん、ごめんなさい。お湯が湧いてないのでとりあえずこれで』
オレ「しょうがないなぁ。我慢するよ!(笑)」
『今日は季節の三点盛りがおいしいですよ。あ、でもジャコ天が終わっちゃっているから違うものになっちゃうけど』
オレ「こっちのハムチーズ揚げはあるんだよね。じゃあ三点盛りで」
店長さん『ごめんなさい、そっちもなくなっちゃったから別のもので』
オレ「エェー! ...まぁいいか。三点盛りとこっちの....」
一日ぶりに人と話すのがうれしいオレはテンションが高い。バカ言いながら注文を終えるとオレはグラスを傾けた。お湯割りは焼酎の香りを強くする。ノドに少量の焼酎を流し込み天井を見上げてふぅと気持ちを落ち着けると、オレはタバコに火をつけた。
-その時、女性の声が聞こえた。「そっちのジムがつぶれちゃったから今はメガロスだけよ」聞き覚えのある声だった。カウンターの二つ先の席に座る女性二人。....間違いない、クライアント様だ。
とりあえず手を振ってみる。気づいてくれていないが、5メートルという至近距離で気づかなかったフリをするわけにもいかないので一所懸命ふり続けてようやく気づいてもらう。。向こうもオレの名が出てくれば気づいてくれたかもしれないが、オレの通り名(?)は『ヤン』、本名には一切引っかかっていない通り名だった。うるさい常連が店員に甘えているぐらいに思われていたのではないだろうか。
「ここはお前の家か」という勢いの常連ヅラがちょっと恥ずかしくなったのは言うまでもない。
クライアント様と話をしているうちに新しいジム(メガロス本八幡)で一緒にダンスコースに参加することが決定しました。時間は日曜10:15~。今後、週末はゴルフ、ダンス、テニス、競馬観戦(優先順位順)とモニタから離れられそうです。